従来の斜線制限をクリアするために道路に面した部分を切り落としたような建物が多く見られる。これは「斜めカット」とも称され、居住性やデザインの向上とは直接結びつかず、専ら「法規により生まれた」形状であった。また、「太く低い建築物」よりも「スリムで高い建築物」のほうが周辺の開放感・日照・通風を確保できるとしても、後者が斜線制限のため建てられず、結局マッシブな建築物を設計するという方向になりがちであった。
そこで、より実情に合致し、感覚と一致する新しい制限として登場したのが天空率の概念である。斜線制限は計算が容易で、立面図だけで検討可能であるのに対し、天空率の計算は難しく、定規と鉛筆の手計算ではほぼ不可能であった。しかし安価で使い易いコンピュータとソフトウェアが普及し、天空率を指標として用いることが現実的となった。現在では天空率計算機能を備えたCAD(JWW等)、旧来のCADへの機能拡張、もしくは独立したアプリケーションとして天空率計算プログラムが広く普及している。
しかし、従来では建たないような建築物が突然近隣に建ってしまうことによる混乱、天空率を使うことで、感覚的に「ボリュームのありすぎる」建築物を建てられるという違和感が生じることもある。
なお、具体的な運用方法は国土交通省住宅局長から各都道府県知事あての技術的助言として(平成14年12月27日 国住街発第110号)「建築基準法等の一部を改正する法律の一部の施行について」 [1]に記されている。